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2026.05.19
データサイエンス教育研究センターが開講する「データサイエンス特殊講義Ⅲ」では、働く人と組織の理解にデータサイエンスを活用し企業の人事戦略に活用する取り組みである「ピープルアナリティクス」について学びます。
この科目は一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会(https://peopleanalytics.or.jp/)のご提供により、企業人事やコンサルタントとしての実務経験を有する方々をゲストスピーカーとしてお招きし、オムニバス形式で「企業におけるピープルアナリティクスの先進的な取り組み事例」についてお話しいただいています。
第1回目の5月11日の授業では、燈データアナリティクス株式会社よりピープルアナリストの佐久間 祐司氏をゲストスピーカーとしてお招きしました。コンサルティングやITベンチャーなどいくつかの会社で人事の専門家としてご活躍されてきた佐久間氏が、実際に所属されていた企業を例にピープルアナリティクスを活用した仕事について講義を行いました。
まず初めに、勤怠や人事評価などのデータを一元化し、分析・加工、社内に結果を還元するまでのプロセスと共に、データエンジニア、データサイエンティスト、BIスペシャリスト、プロジェクトマネージャーなど、ピープルアナリティクスに関わる職種の違いについて説明がありました。
次に人事の仕事とピープルアナリティクスの関係について、「可視化」と「分析」という視点で具体的な事例を基に学びました。従業員を採用する過程において、BIツールを活用したダッシュボードでは、日々更新される応募状況や進捗が可視化され、エクセルで管理した場合と比べて、はるかにわかりやすく、更新性も高いということがわかりました。
そして、人事評価における課題解決のためにデータ分析を活用した事例として、360度評価のバイアスを除去して、比較可能なスコアを算出したプロセスが紹介されました。360度評価とは上司だけでなく同僚や部下など多方面から個人を評価する手法で、個人の得手不得手を把握するためには効果的である一方、同じパフォーマンスに対しても評価する人の感覚の違い(厳しさ/甘さ)によって評価に差がでてしまうというデメリットがあります。そのデメリットを補うため、評価結果を対戦成績のように読み替え、Bradley-Terryモデルというレーティングアルゴリズムを適用します。これはスポーツチームのランキングなどに用いられているアルゴリズムで、これを評価に応用することで、評価者間のバイアスを是正することができます。これにより従来相対比較には適さないとされていた360度評価から新たに比較可能なスコアを算出し、評価の参考情報として提供することにより、より適正な人事評価を行い、ひいては離職を防いだり、従業員のパフォーマンス向上に役立てたりするというピープルアナリティクスの応用事例を学ぶことができました。
講義後は質疑応答の時間が設けられ、受講学生から「良い職場環境とは?」「大学での学びで仕事に活かされたことは?」「将来データアナリティクスの分野で働くために今学ぶべきことは?」など講義内容だけでなく、学生たちの将来に関することも含めて様々な質問が寄せられました。佐久間氏からは「大学生のうちから分析手法は幅広く知っておくに越したことはないが、就活に有利だからという理由ではなく、自分が興味のあることを突き詰めることが大切。」と学生たちにメッセージが贈られました。
※ゲストスピーカーの講義回は履修学生以外の学生も受講できます。次のゲストスピーカーの登壇は第2回を6月15日、第3回を7月6日に予定しています。
燈データアナリティクス株式会社 佐久間 祐司氏
事例を基にわかりやすく解説いただきました
履修学生以外の学生も参加しました
学生からの質問に答える佐久間氏