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2026.07.28
成城大学では、小田急電鉄株式会社様(以下;小田急、敬称略)との連携・協力協定によるキャリア教育科目を2018年度より開講しています。本科目「キャリア・プラクティスⅣ〈サステナビリティ〉」1)は、学生が、社会の問題や課題を調査し知ること、チームで意見を出しあいながら活動すること、大勢の前で発表すること、そして、社会人と関わりながら職業観・人生観を醸成することを授業のねらいとしました。
2026年度は小田急の有識者を招聘し、学生は小田急のサステナビリティ・経営2)と「WOOMS」3)について学び、授業の前半・後半計2つのテーマをもとにそれぞれチームを編成し活動を行いました。前半のテーマは『小田急の事業を調査し新規事業を創造』(経営戦略部より提示)。後半のテーマは『成城学園/成城地域ごみを減らすには』(デジタル事業創造部より提示)。学生は、学内外のフィールドに足を運び、積極的にヒアリング、アンケート、文献調査、企画書提出・交渉等を行い、小田急や成城学園と協働してできることを考えました。
後半のテーマの活動成果発表会は、7月10日(金)に学内グローバルラウンジにて開催しました。学生からの提案には、学内のごみ箱の分別化(ゴミ箱の透明化)、プラスチックバックのサイクル、ウォーターサーバーの設置、食堂のモバイルオーダー化、落ち葉の焼き芋イベント、伐採木の資源循環が挙がりました。この成果発表会には、小田急電鉄の有識者、世田谷区環境政策部清掃・リサイクル推進課長、早稲田大学大学院生、成城学園管財課職員、合計8名が来場し、各発表ブースを巡回いただき、問題意識と課題解決について語りあいました。
授業での活動を通して:学生のコメント(一部改編)
発表に向けた準備の中で一番良かったと思うのは、チーム全員で話し合いを重ねられたことです。定期的に集まって、誰もが気兼ねなく自分の考えや意見を言い合える雰囲気がありました。それぞれの担当の仕事をしっかりこなすだけでなく、お互いにアドバイスを出し合いながら進めることができたと感じています。また、発表の内容についても5月の発表の反省を活かすことができました。決められた時間の中で一番伝えたい大切なポイントがブレないように意識してスライドを作ったことで、本番では大事なメッセージを分かりやすく伝えることができ、スムーズに発表を終えることができたと思います。
身近な課題を見つけ、その解決策を考えることの難しさと面白さを学びました。私たちのグループは、学食で毎日使用されている紙食券に着目し、モバイルオーダーを導入することで紙ゴミの削減や利便性の向上を目指す提案を行いました。普段何気なく利用している学食でも、紙食券が毎日大量に発行されていることや、それらが使用後すべて廃棄されていることを改めて知り、身近な場所にも改善できる課題があることに気付きました。実際に学食の方へ聞き取りを行ったことで、インターネットだけでは分からない現状や課題を知ることができ、より現実的な提案につなげることができました。調査を行うことの大切さや、実際の利用者や現場の方の意見を取り入れることの重要性を実感しました。今回の授業を通して、社会課題は決して特別な場所だけにあるものではなく自分たちの身近な生活の中にも多く存在していること、その課題を解決するためには現状を正しく把握し、多くの人の立場を考えながら現実的な提案を行うことが大切です。この経験を今後の大学生活やグループ活動にも生かし、課題に対して主体的に考え、周囲と協力しながら解決策を考えられる力を身につけていきたいと思いました。
私の発表を学内管財課の職員さんに聞いてもらえました。その時のコメントの節々から私たち学生を思う気持ちが感じられ、本当に有難く、良い環境に居させてもらえているのだと実感しました。全体を通して印象に残っていることは質疑応答の時間です。同じブースにいた人たちとディスカッションしているような感じがしました。一緒に提案を考えた人以外の人と交流することによって、新しい意見をもらい、提案内容のさらなる可能性を感じました。まだまだ詰められそうなところはあったと思う一方、考え始めたら無限に話が広がってきりがないくらいでした。
ゲスト講師 正木弾様より
(小田急電鉄株式会社 デジタル事業創造部課長 WOOMS統轄リーダー)
小田急は、東京・神奈川の地域で事業展開する一事業者ですが、鉄道や街づくりで培ったインフラ運営のノウハウを活かし、最近では循環型社会に必要不可欠な資源・ごみ収集のDX化を目指すビジネスに挑戦しています。これまで培った経験や知見を一度棚卸し、身の丈に合った「できること」から真剣に考えた結果です。本授業では、学生の皆さんが、成城という身近な地域を舞台に、実際に「ごみ」がでる現場に足を運び、関わる人にヒアリングをし、学生ならではの新しいアプローチで「ごみ」をなくすための解決策やその解決に向けた具体的・現実的な進め方を発表していただきました。「サステナビリティ」の実現には多くの課題があり、解決方法が見出されていない事柄も多く残っています。将来を担う学生の皆さんが、地球規模の課題を他人ごとにするのではなく、自らできることを考え、発表を聴く人の共感を得る過程で得た経験は、社会に出てからも役立つものだと思います。
ゲスト 計良亨様より
(世田谷区 環境政策部 清掃・リサイクル推進課長)
学生のみなさんが資源循環やごみの減量に向けて真剣に、かつ小田急電鉄さんとタッグを組みながら現実的にどうやったらできるかという視点を踏まえて考えている姿に感銘を受けました。中東情勢により日常生活に大きな影響が出ていることは皆さんも感じているところだと思いますが、多くの資源を国外に依存する日本だからこそ、資源を循環させることにより国内で資源を確保することは一層重要となってきます。また、ごみの減量により焼却量を減らすことでCO2を削減し、気候危機への対策を進めていくことも区としての大きなミッションです。こうした背景を踏まえて、今日提案いただいた内容や学生の皆さんの思いを大切にさせていただきながら、今後の区の施策に取り組んでいきたいと考えています。
昨今、サステナブルな企業が、商品の購買先としても、就職先としても、投資先としても評価され、また、その担い手となるサステナビリティ推進人材が必要とされています(村上2021) 4)。企業ではSDGs5)を達成するためのESG経営6)が推進され、また、人々も単に利益のためだけでなく、自らの貢献が社会にどのようにインパクトを与えるか考えながら仕事をする時代となりました。本科目では小田急に協力をいただき、このようなグリーンガイダンス7)が実現しました8)。
注)
1)成城大学のキャリア教育 Seijo Career Program(SCP)
https://www.seijo.ac.jp/career/news/cvt4qu000000h94b.html
2026年度「キャリア・プラクティスⅣ〈サステナビリティ〉」シラバス
https://lc.seijo.ac.jp/lcu-web/SC_06001B00_22/referenceDirect?subjectID=202900705713&formatCD=1
2)小田急のサステナビリティ(経営ビジョンとESG) https://www.odakyu.jp/sustainability/
3)WOOMS(資源・廃棄物の収集・運搬・排出作業の効率化と資源循環を高めるサービス) https://www.wooms.jp/
4) 村上芽(2021)「サステナビリティ人材を育成する」JRIレビュー ,日本総合研究所10, 94, pp.114-126
5) SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標
6)ESG(Environment Social Governance):環境・社会・企業統治を考慮した投資活動や経営・事業活動
7)グリーンガイダンス:下村英雄・高野慎太郎(2022)「グリーンガイダンス -環境の時代における社会正義のキャリア教育論-」『キャリア教育研究』日本キャリア教育学会40,2 pp.45-55
8)勝又あずさ(2024)「小田急電鉄との連携によるプロジェクト型サステナビリティ教育の実践」『成城大学共通教育論集』(16), pp.37-66
https://seijo.repo.nii.ac.jp/records/2000209
文責・撮影・科目担当者 勝又あずさ(成城大学 キャリアセンター)